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現在日本の景気がよくない理由の1つとして、「市場にお金が出回っていない」という状況にあることがあげられています。個人の金融資産は1400兆円とか1500兆円といわれていますが、それがほとんどしまいこまれて市場に出回っていません。人間の体で例えれば血液がほとんど流れず、手や足に満足な栄養・酸素が送られていない状態です。この状態を見て報道などでは「若年層が消費しないから」という意見が声高に上げられています。「若者は自動車も買わないし居酒屋にもいかない。家に閉じこもってネットばかり。お金を使わないから市場で物が売れないのだ」といわれています。まるで不景気の原因が若年層の消費性向にあるかのような論調です。それでは本当に若年層はお金を使わず、溜め込んでいるのでしょうか。各年齢層別に金融資産の保有割合をグラフ化してみることにしました。
2004年度末の話ではありますが、20代以下が持つ金融資産は全体の1%強です。30代以下に限定しても1割に満たない状況です。一方、定年退職を迎えた60代以降の年齢層だけで過半数を占めています。
これらの値は「預貯金・保険・有価証券など」の合計額であって、住宅ローンをはじめとした各種負債は考慮していません。考慮した場合、30歳代以下は債務超過(つまり負債の方が大きい)になってしまい、グラフが形成できないほどです。ちなみに年齢階層別の「貯蓄(=金融資産)」と「負債(住宅ローンや月賦支払いなど)」を足した2007年度末における純貯蓄額は次のとおり(下図)です。
20~30代は住宅ローンなどの負担が大きく純貯蓄額はマイナス。40代になってようやくプラスに転じ、定年退職を迎える60代になると急増する様子が分かります。「高齢者は金融資産を持ってるかもしれないけど、負債も抱えているだろうから、そんなに『使え使え』と急かしても無理では?」という論調は成り立たないことになります。
2004年度末よりも2007年度末の方が、60代・70代以上の金融資産保有率が増えているのは、団塊の世代がまとめて定年退職を迎え、退職金を手にしたことが大きな要因としてあげらます。もちろん、若年層の所得が低いままで抑えられていることも理由の1つです。ここ数年収入額はほとんど変化せず、貯蓄残高は若年層で急減している様相を見せています。